Minimoog Model D
特徴
仕様
1970年に発売されたオリジナルのMinimoog Model Dは、初のポータブルなシンセサイザーであり、その後に登場したすべての電子キーボードの原型となりました。全段アナログ回路で構成されたこの楽器は、1960年代のMoogモジュラー・シンセサイザーの壮大なサウンドと、配線済みモジュールによる使いやすさ ─ パッチ・ケーブル不要ですぐに思い通りの演奏が可能なことで大きな賞賛を集めました。発売直後からハービー・ハンコック、クラフトワーク、リック・ウェイクマン、サン・ラ、ピエロ・ウミリアーニ、ジョルジオ・モロダー、バーニー・ウォーレル、ゲイリー・ニューマンといった多様なアーティストが使用し、それぞれ独自のサウンドや新たな音楽ジャンルを築き上げました。
その「発明」から半世紀以上を経て、Minimoog Model Dが再び、ノースカロライナ州アッシュヴィルのMoogファクトリーで生産されます。唯一無二の楽器、そしてこれまで開発されてきたどのシンセサイザーで最も愛され、アイコン的存在であるこの楽器が、あらゆる音楽スタイルのシンセシストの手に渡り、次世代のエレクトロニック・ミュージシャンへのインスピレーションの源泉となるのです。
3基のオシレーター、モノフォニックのアナログ・シンセサイザーを、地元で採れたアパラチアン・チェリー材のキャビネット、ハンド・フィニッシュによるアルミ製シャシーに収め、そのサウンドはオリジナル同様に活き活きとしディープで、ローパス・ラダー・フィルター、強力なオシレーター、豊かなサチュレーションを生み出すミキサーなどの各種回路は1970年代当時のMinimoog Model Dと同様の回路かつ(表面実装ではない)スルーホール基板による設計です。
オリジナルのサウンド・エンジン(オーディオ・パス)には一切手を加えないものの、2022年モデルのMinimoog Model Dには、この伝説的な楽器の音作りの幅を広げる機能面での改良が多く施されています。その中には、矩形波と三角波を内蔵したアナログ回路による専用LFOや、ベロシティ、アフター・プレッシャー(アフタータッチ)対応のFatar製高品位キーボード、パネル上端部にあるCV端子(トリムポット付き)、MIDI対応、そしてノブ操作だけでオーバードライブが得られ、過激な音作りを容易にするミキサー回路のフィードバック、そしてMinimoog Model Dとしては初の、スプリング内蔵ピッチ・ホイール(手を放せばセンター位置に自動で戻ります!)を採用し、プレイアビリティの向上や、ワイルドなパフォーマンスにも大きく貢献します。
製品仕様
- 鍵盤数:44鍵(F0〜C4)
- 鍵盤アクション:シンセ鍵盤(スプリング式)
- 発音優先(低音優先、高音優先、後着優先):ユーザー選択可能
- 音源:オシレーター(x3)、ノイズ・ジェネレーター、外部オーディオ入力
- オシレーター周波数レンジ:0.1〜20kHz(6段階レンジ選択式)
- オシレーター安定度(短時間);0.25%以下
- オシレーター波形:三角波、三角波–ノコギリ波(オシレーター1、2)、反転ノコギリ波(オシレーター3)、ノコギリ波、矩形波、パルス波(デューティ広)、パルス波(デューティ狭)
- ノイズ・ジェネレーター:ホワイト、ピンク
- LFO周期:0.05〜200Hz
- LFO波形:三角波(ノブ押下時)、矩形波(ノブ引き上げ時)
- 外部モジュレーション入力レンジ:+10mV〜+2V
- 外部モジュレーション入力インピーダンス:1MΩ
- フィルター・タイプ:電圧制御ローパス(ラダー・フィルター)
- フィルター周波数レンジ:10Hz〜20kHz
- フィルター・スロープ:24dB/Oct
- フィルター・キーボード・トラッキング:1/3、2/3、1:1
- コンター(エンベロープ)アタック・タイム:1ms〜10S
- コンター・ディケイ・タイム:4ms〜35S以上
- コンター・サステイン・レベル:0〜100%(コンター・ピーク)
- フィルター・コンター・レンジ:0〜4オクターブ
- VCA:ラウドネス・コンター(VCAエンベロープ)、ダイナミックレンジ:80dB
- 外部オーディオ入力電圧:+10mV(最小)、+10V(最大)
- 外部オーディオ入力インピーダンス(定格):1000kΩ
- オーディオ出力(HIGH):定格電圧:0.5V、最大電圧:4.2V(ピーク間)
- オーディオ出力(HIGH)定格インピーダンス:3kΩ
- オーディオ出力(LOW:HIGHに対して30dB降下):定格電圧:15mV
- オーディオ出力(LOW)定格インピーダンス:1kΩ
- ヘッドフォン出力電圧:0.3V(最大)
- ヘッドフォン出力インピーダンス:8Ω
- グライド・レイト:1ms〜10S
- ピッチベンド・レンジ:±7半音(最小)
- アフター・プレッシャー(アフタータッチ)CV出力(1/4" TS端子):0〜+5V(トリムポットで調整可能)
- ピッチCV出力(1/4" TS端子):-3V〜+7V
- ゲート出力(1/4" TS端子):0〜+5V
- ベロシティ出力(1/4" TS端子):0〜+5Vまたは0〜10V(選択式、トリムポットで調整可能)
- ラウドネス入力(エクスプレッション・コントロール)(1/4" TRS端子):0〜+5V、+5V=ユニティ・ゲイン(Moog EP-3エクスプレッション・ペダル使用可能)
- フィルター・カットオフ入力(1/4" TRS端子):1V/1Oct(Moog EP-3エクスプレッション・ペダル使用可能)
- モジュレーション・ソース入力(1/4" TRS端子):1V/!Oct(Moog EP-3エクスプレッション・ペダル使用可能)
- トリガー入力(1/4" TS端子):+5V Vトリガー(フィルターとアンプ両方のコンターをスタート)
- MIDI入力(5ピンDIN端子):ノート・オン、ノート・ナンバー
- MIDI出力(5ピンDIN端子):ノート・オン、ノート・ナンバー、ベロシティ、アフタータッチ、モジュレーション・ホイール、ピッチ・ベンド
- MIDIスルー(5ピンDIN端子):MIDIインからのデータをミラーリング
- 外部パワーサプライ:セルフスイッチ式100〜240V、50/60Hz、消費電力(定格):12W以下、ロック式XLR-4コネクター
- 外形寸法(パネル水平時):727 (W) x 435 (D) x 146 (H) mm
- 質量:14.5kg
- 保管温度:2〜60ºC
- 定格動作温度:10〜35ºC
- 動作可能温度:10〜50ºC